287. 「~していただき、~してください」 / 典型的なダメ文章

「~していただき、~してください」「~してもらい、~してくれ」 という構造の文章が成立するためには、下の用例1のように登場人物が3者必要である。ここでは「先生」「お父さん、お母さん」「児童」の3者である。「児童であるあなたが~してもらえ、そして児童であるあなたが~してくれ」という自然な文章である。

  • 用例1. 先生から児童へのメッセージ:
    では、この用紙をおうちに持ち帰って、お父さん、お母さんに書いてもらって、明日また学校に持ってきてください

ところが下の用例は2者しか存在しない。「編集委員会」「投稿希望者」の2者である。「再送して頂く」の動作主は「編集委員会」であり、「お問い合わせくださる」の動作主は「投稿希望者」である。「わたしが~してもらい、あなたが~してくれ」ではおかしいだろう。

下の用例は、同じ会の別ページであるが、これもひどい。「納入いただく」という言い方はない。「納入していただく」「御納入いただく」のどちらかしかない。「~していただけますようお願い申し上げます」という言い方もできない(二方面への敬語は除く)。これでは、「私」の行為を相手に要請していることになる。「~してくださいますようお願い申し上げます」としか言えない。

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