201. 「いく」と「ゆく」と

「『ゆく』は口語です。『いく』に書き換えてください」などとおかしな故障を入れる翻訳チェッカーがまれにいるのでここに書いておく。当たり前すぎてばかばかしい。

「ゆく」だけを取り出してそれが口語であるのかそれ以外の何かであるのかを判断することは誰にもできない。口語として使われていれば口語であり、文語として使われていれば文語であるというにすぎない。

方丈記「ゆく河の流れは絶えずしてしかももとの水にあらず」は「ずして」「あらず」とあるように文語であるからこの「ゆく」は文語である。映画「いま、会いにゆきます」は「ます」とあるように口語であるからこの「ゆき」は口語である。

「いく」「ゆく」のどちらかがかしこまった語でありどちらかがくだけた語であるという認識を持つ翻訳チェッカーがいるが、そのような区別はない。ただし昔からある言葉はほとんどが「ゆく」である。その証拠に大半の国語辞典は「ゆく」に重きを置いて立項している。

また「いく」「ゆく」が混在してもまったく問題ない。統一教会には解散命令が出るようだがそれよりも表記統一教に消えてほしい。