273. 数え年と享年と

1943年に生まれて2014年に亡くなったのだとすれば享年72だ。
1937年に生まれて2014年に亡くなったのだとすれば享年78だ。

「71歳であった」「77歳であった」などと書けばいいだけなのに、「享年」という難しい言葉を使う。しかも使い方を間違う。

また「享年XX歳」と書いてはならない。「年」と「歳」とが重なっている。もっともこうした表記は江戸時代からあるようだ。

森鷗外『澀江抽齋』には、「五門は後明治三十八年二月二十三日に歿した。天保六年の生であるから、年を享くること七十一であつた」とある。これを「年を享くること七十一」 と書いたらさすがにおかしい。

↓ わかっていない。

禿頭帽子屋の独語妄言 side A: # おそるべし、ベーコン指数
前者は言うまでもなく、元クリームのベーシストとして名高く、ソロになってからも独特の音楽性を発揮していたミュージシャン。2014年10月25日死去。享年71歳。

後者は、尾辻克彦名義は1冊も読んだことなくて、赤瀬川原平と言えばもちろん超芸術トマソンと、「おじぎびと」にもつらなる路上観察学の人。2014年10月26日死去。享年77歳。

↓ わかっている。

だから、個人ひとりひとりの誕生日が来たかどうかとは無関係に、毎年1月1日になると全員が1つ年を取る。12月31日に生まれた人はその時点で「1年目を迎えた」つまり「1歳」。年が明けて1月1日になると、「2年目を迎えた」つまり「2歳」ということになる。「生後2日」で、満年齢なら0歳の赤ん坊なのにもう「2歳」^^;

#『校閲至極』日記、その12 - 禿頭帽子屋の独語妄言 side α